東京さぬき倶楽部に泊まってみた

先日東京に遊びにいった際、カプセルホテル探訪をやめて、前から気になっていた『東京さぬき倶楽部』に泊まることにしました。麻布にあるこの建物、香川県人の秘密結社と思いきや(思わないか)、レトロ建築愛好者垂涎のホテルなのですよ。知ってました?

 

外観はこんなかんじ

f:id:ryoko-m:20160729001031j:image
本館は設計が大江宏によるもので1972年(昭和47年)に建てられたものである。2003年に大規模改築が行われた。別館は明治時代に作られた木造建築であり、真珠王御木本幸吉の別邸でありかつては「紅梅屋敷」と呼ばれていた。都内の一等地にあるが香川県所有地であり、敷地内には職員住宅が併設されている。
引用はWikipediaより。能楽堂なんかを作った、有名な建築家の方が設計した建物だそうです。私は古いビルや昔の家が好きなのですが建築にはまったく精通しておらず、この人がどのくらい有名なのか分かりません。ただ、麻布十番から橋を渡っていかにも下町風情の家の間を抜けると、立派な門越しにこの建物が目に入ります。そして、門の向かいには超近代的なタワーマンションも。その風景と比べたときに、このホテルからは“誰かが昔、情熱を注いでかたちやしくみを考えた”痕跡がある気がします。作り手の存在感が時間を超えて留まっている印象が、私が古い建物に感じる魅力なのかなぁと(古民家なんかだと、住み手の存在感に取って代わる気がしますが)。ともあれ、その存在感のある見た目をざっくり言うと、レトロモダンという印象。今日の部屋は和室のはずなので、ギャップが気になります。入ってみましょう。
 

内装も、モダーン

f:id:ryoko-m:20160729001110j:image
入るとすぐにフロントがあります。チェックインを済ませる間に、あちこち見学。シャンデリア?が面白いし、その他の照明も天井の一部に埋め込まれたようなデザイン。階段の手すりはちょっとヨーロピアン。全体に直線的かつ装飾的で、なんというか、かたちでいうと“角丸”な印象。
階段回りも装飾的。床の模様がレトロでかわいいです。しかし、昔の人ってなぜこんなに細部にこだわるんでしょう。今よりも技術的に時間がかかったはずなのに。かけてる予算の違い?それとも人件費の違い??
f:id:ryoko-m:20160729001122j:image
 

部屋は普通、おひとりさまには至極快適

ほぼ最上階の部屋はカジュアルな旅館のような雰囲気。定員四人の部屋に一人なので、広々です。布団が敷かれてて嬉しいよう。ベッド生活者の皆さん、たまの布団っていいですよね。そっこう寝転びました。畳もいい。畳やっぱ最高。家にほしい。
f:id:ryoko-m:20160729001154j:image
窓から見る風景は住宅地で静かでした。六本木がすぐ近くにあるとは思えないくらい。でも麻布や六本木って、エアーポケットのようにちょこちょこ昔ながらの場所が残ってるんですよね。
洗面所も古いですが清潔で、全体に大振りで使いやすかったです。私、自分が借りる部屋も多少築年数が経ってる方を推すタイプなんですが、少し昔のものの方が水回りなど備え付けのものが大振りで使いやすい気がしませんか?最新のマンションはあまりに計算されていて、コンパクトかつ無駄がなさすぎてつまらない。
f:id:ryoko-m:20160729001212j:image
大浴場もあるのですが、私はその夜へべれけで深夜帰宅したので入れず、どんな感じなのかは不明です。
 

朝ごはんは、うどんだよ!

さすがさぬき倶楽部。朝ごはんは和風洋風うどんから選べます。しかし、前夜にへべれけ予定だった私はちょっと悩み、食べなれた洋風をチョイス。期待に応えられずにすみません。写真もないっす。ちなみに、食堂では圧倒的にうどん派が多数でした。やっぱりね。
 

一番素敵だったのはロビー!
f:id:ryoko-m:20160729001230j:image 

今回一番力を込めてお伝えしたい素敵ポイントはロビーです。宿泊に直接関係ないけど、なんかいい所に来たなぁと思わせるホテルの顔、ロビー。さぬき倶楽部のロビーは、その辺の若手(若ホテル)には醸し出せない年数を経た落ち着きと、寛ぎと、リッチ感が融合。平日訪問で人がいないこともあって、なんだか美術館の休憩スペースみたい。特にぐっときたのがこの椅子。ソファと座椅子の中間のような大振りの椅子がとっても座り心地がよくて、なんだこれ家に欲しい。座面が低いから、畳に座るような和の寛ぎがあります。壁際のウッドチェアも快適で、背もたれの角度を木の噛み合わせで調節できる機能性もグッド。これもほしーい。

そもそも椅子がほしいなぁと思っていたこともあり敏感に反応したのですが、この椅子たちはジョージ・ナカシマさんという日本人木工家の先駆けの方が作った、今じゃ市場で買えない名品とのこと。道理でいいと思った。椅子についても明るくない私が思わず食いついて検索してしまうくらい、明らかによい椅子です。好きな方はぜひ。たぶん椅子業界では有名なんだと思う。
f:id:ryoko-m:20160729001241j:image

まとめ

今回は新幹線とセットのパックを利用したので、宿泊費は5000円くらいでしたが、本来は1万円弱くらいから泊まれるようです。24時間出入りできて、大浴場もあり、一人旅にはとても快適。お土産でさぬきうどんまでついてきました。他へのアクセス至便というわけではないですが、宿泊施設自体を観光地にしたいならぜひ。また、夏はビアガーデンもやってるし、古民家を改装したこじゃれたご飯屋も併設。泊まらない人も、一度ロビーでお洒落な椅子に座ってレトロモダンに浸ってみてはどうでしょうか。