天神橋筋 魚伊でひつまむしを食す

ひつまぶしを食べたい、ひつまぶしを食べたい、ひつまぶしを食べたい!
たまに、心底食べたくなるものの一つが名古屋名物ひつまぶしです。
もし警察に取調べを受ける機会があれば、カツ丼ではなくうな丼ではなくひつまぶしを所望します。ぜひ持ってきてください。
実は子どもの頃は鰻が苦手で、家のごはんが鰻重の日は鰻を取り除いてもらってたれと海苔だけで食べておりました(たれの味は昔から好きなんです…)。偏食だったので肉も魚も苦手で、鰻の肉に通じる脂っぽい感じと、時々感じる魚の骨の食感がとにかく嫌。正直何が美味しいのかまったくわかりませんでした。それを好きになったのは、名古屋在住時に初体験した「蓬莱軒のひつまぶし」。細かく切った鰻がとにかく香ばしくて、ごはんと一緒に食べると脂っぽさも気にならない。山椒をかけてよし、わさびを乗せてよし、お茶漬けも味わい深くてグッド。それにあのボリューム。名古屋のごはん屋さんは盛りがいい店が多いですが、てんこ盛りっていうのはこのことかと。食べるこちらも大体30分以上は待たされているのでかなり空腹なはずなんですが、食べ終わると無口になるくらい、お腹がいっぱいになります。幸せと苦しさが同時に押し寄せる、それがひつまぶしです。
名古屋には他にも有名なひつまぶしのお店があって、職場の先輩方に連れて行ってもらったのですが、蓬莱軒は友達が遊びに来た時に観光も兼ねて熱田本店を訪問したり、栄の松坂屋に入っていたので一番よく行きました。松坂屋は職場からも徒歩圏内だったので、ボーナスが出たとき、ものすごく食べたいとき、あるいは食べないとやってられないとき、ふらりと一人で通ったものです。名古屋に住んでいた2年半の間にひとりご飯スタイルはひとつの転換期を迎え、かつては外でごはんを食べることすら躊躇していた女の子はひつまぶしを一人カウンターで注文できるほどの社会的耐性を身につけました。今となってはビールと共に注文することも躊躇いませんが、それもこれも、ひつまぶしのせいおかげです。
さて名古屋を去って早4年。前職ではたまに名古屋出張の機会があったのですが、大阪に越してからはそんな機会もなく、ひつまぶし欲求が高まっておりました。かくなる上は友人たちにも会いたいし、名古屋へ行くかぁと思ってたんですが、なんと天神橋筋でも美味しい鰻が食べれるとな。
という訳でものすごく前置きが長くなりましたが、天神橋筋商店街の「魚伊」にランチしに行ってきました。ちなみに情報源は落語の寄席。「食べ物」がテーマの寄席で、噺家さんの対談内で紹介されてました。それ以外で覚えてるお店は「黒門さかえ」(北新地にあるうどんの有名店)で、こちらも美味しゅうございました。
ひつまぶしが食べたいという割に、鰻を食べるようになったのがここ数年なので鰻事情に疎いのですが、老舗の鰻屋さんって結構あるもんなんですね。こちらは創業慶応三年という老舗です。デパートにも出店してるらしいですが、食べられるお店は本店(高殿ってとこらしい)と天六のみです。
14時に訪問して15分ほど待ちました。

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店内はカウンターの1階とテーブル席の2階。カウンターに通されたので2階はよく分かりませんが、綺麗で、適度に庶民的で一人でも入りやすかったです。「ひつまむし」は2500円也。ランチにしては高いけど、ひつまぶしにしては安いですね。(ちなみに「ひつまぶし」は蓬莱軒の商標登録みたいです。)

待つこと20分くらい。ひつまぶし、来たー!・・・ちょっとうなぎが少ないけど。

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確かに鰻は香ばしくて美味しかったし、分量もこれくらいが適切です。薬味もたっぷりあるし、お出汁も美味しいし、お漬物もついてるし。鰻とご飯の比率は、ちょっと考えないとご飯が余ってしまう感じなんですが、これが2500円と3500円の差でしょうか。あの幸せと苦しさが一緒にやってくる感じを求めると、物足りないかもしれません。
カウンターの端にはアジア系観光客のおばさまが一人で鰻とビールを嗜んでいて、食べている間にも何組も外国人観光客がやってきていたので、観光ガイドなんかにも載ってるのかもしれませんね。そういう意味でも気軽に入れてよいお店です。持ち帰りもあります。
という訳で、ひつまぶし愛を語るだけ語って、肝心の魚伊の感想は先細りでごめんなさい。近いし美味しいし値段も高くない、でもひつまぶし欲求はまだ半分くらいしか満たされなかった、そんな感じです。やはり私は名古屋に行くしかないのでしょうか。