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3月5日(土)紅寄席@天満天神繁昌亭:鶴瓶のはみでる「らくだ」

本とエンタメ-落語 本とエンタメ

月に1回か2回、繁昌亭に落語を聞きに行くのを楽しみにしています。当方、長年勤めた会社を定年退職して今は夫婦で年金暮らしの悠々自適な60代男性、ではありません。あと30年近く社会人をやる予定のぴちぴちの(?)30代女性です。最近流行ってるらしいですけどね、落語女子とか言って。でも私が選ぶ演目が悪いのか、寄席ではそんなの全く感じられないくらい年配の方が多いです。超アウェイです。まあ、私趣味嗜好だとM3に分類されそうな人間なので、仕方ないですけど。

さて、今回は3/5(土)に開催された紅寄席について、今さらですけど感想&備忘録メモです。一度鶴瓶の落語が聞いてみたいと思って、初めてきちんと前売り券を買いました。席も指定で、ほぼ最前列のど真ん中。噺家さんが超近くて面白かったです。

【第十二回 紅寄席】

たいこ腹 笑福亭呂好

若旦那の針の餌食になる太鼓持ちの話。あれー、聞いたことある、と思ったらつい二週間前に浅草の寄席で聞いたのでした。浅草で聞いたのは道楽者の若旦那が太鼓持ち相手にやりたい放題やっちらかす感じの話でしたが、今回大阪で聞いたのはアホな太鼓持ちの視点で、若旦那にやられまくるそのリアクションが面白いという感じの話し方。同じ話なのに視点が反対というか、面白がらせ方が違っています。江戸と上方では内容や設定が変わっていることがあるらしいのでそのせいかもしれませんし、どちらが正当か分かりませんが、同じ話にしても結構、アレンジしてよいのね、と驚きました。

佐々木裁き 笑福亭喬介

これは噺自体が結構面白いですね。とんちの効いた子どもが、堅物有能のお奉行様に呼び出されて、問いかけにうまい事切り替えす話。落語はちょっとグロかったり、間抜けすぎたり、下げて笑わせるところがあるなぁと思ってますが、こういう一休さん的なお話は後味がよくて好きです。前説で、お奉行様がとっても偉い事、当時のお裁きでは袖の下が飛び交っていたことなど話の設定について補足がありました。確かに学生向けだと、そういうのがないとよく分からないかもしれないですねぇ。ちなみに噺家さんはとぼけた話しっぷりの人で子ども役がうまかったんですが、後に話した師匠によると「あんなにライトな仕上がりの佐々木裁きは聞いたことがない」そうですw

高津の富 笑福亭三喬

一文無しなのに大富豪の振りをして宿に泊まった男が、1枚だけ買った富くじで…という話。これは話が面白いというより、昔の“宝くじ”の仕組みが分かってなるほどーと思いました(すみません知識のないもので)。神社主催、十二支×番号で札が売られていて、発表当日は神社の特設ステージ(的なところ)で、利害のない人(この場合は子どもでした)が無作為に選ぶ(槍で突き刺す)という仕組み。当選番号は張り出されます。今の宝くじと大筋変わらないですよね。っていうか宝くじのルーツが富くじってことですよね。当選発表前、境内で当選を待つ人たちのやりとりがあるあるで面白かったです。ねぇねぇ、宝くじ当たったら何する?っていうやつです。

らくだ 笑福亭鶴瓶

演目は「お楽しみ」になってましたが「らくだ」でした。この話長いんですよね。あと調べたら話すのが難しい演目で、真打しかできないと言われているらしいです。その割に、私は初心者にしてもう2回目なんですが。最近多いのかしら。らくだは、主人公のゴロツキ「らくだ」が死んで、兄貴分が葬式を出してやろうと通りすがった紙くず屋を巻き込んで無茶をやる話です。全編にわたって死体と酔っ払いが出てくる柄のわるーい話。鶴瓶の話し方はあまり客席とコミュニケーションをする感じではなく、割とマイペースに進みます。「ディア・ドクター」(西川美和監督)の時に思ったのですが、鶴瓶は怖い演技が上手い。ちゃんと柄が悪くて、怖いです。だからか、前半はあまり笑えませんでした。半ばを過ぎてから、ちょいちょいアレンジを入れてきます。らくだをお棺に納めるときに、眉毛半分そり落としたり、もみあげだけ剃り残したり。酔っ払いのめんどくさい感じも笑えます。でも、一番面白かったのは最後。棺を掲げて街中を練り歩いて、火屋(火葬場)までいったららくだがいなくて、引き返して間違えて酔っ払いの坊主を拾って、さあ焼こうかと言う時に目覚めた坊主が「ここはどこだ」「火屋だ」「火屋=冷やでいいから、もう一杯」と落としたところまではお話しどおりなのですが、下がりかけた幕を止めて、また話し始めます。橋の上でお棺から落ちたらくだ、実は生きていて目を覚ます。足は折れてるし(お棺に入れるときにぼきっと)、もみあげ残ってるけど眉毛片方ないし、なんじゃこらと思って家に帰ると、そこには泥酔した紙くず屋。何をしやがる、同じ目に合わせてやると紙くず屋を火屋へ連れて行こうとすると、「火屋か、ひやでもいいからもう一杯」。二段落ちなのでした。らくだのリプライズ版とでも言いましょうか。全編わりとあけすけな話だし、らくだも言われ放題ですからね。ちょっとは言い返したい主人公の気持ちを汲んだ、心優しい趣向かもしれません。最後の最後、この落ちの追加も含めて少しだけ話をしてくれて、ああ、鶴瓶ってちゃんと落語家なんだねぇと思った次第です。

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