ほら、春の夜の夢っていうし。

この頃は疲れがまず目に来ます。なんか年寄りくさい話ですみませんね。ほら、のび太が眼鏡を取ると眼が「33」になるでしょ。あんな感じです、疲れ目。あっ今私の目33だわ、と思ったら、ちょっと高い目薬をさします。ドラッグストアの売り場に外箱しか置いてなくて、レジで商品引き換えるタイプの目薬です。なかなか効くので満足。ひとつだけ、この目薬は液が赤いのですが(珍しい)、私目薬をさすのがとても下手くそなので、しょっちゅう服やハンカチを汚すのが欠点です。目薬にあるまじき、ちょっぴりセンセーショナルな汚れ方をします。

 

そんな疲れ目をかかえた33歳(はからずも)が残業して自転車で帰る道すがら。春の夜風はまだひんやりしていて、甘ったるさのない気持ちのいい時期です。テラス席が盛況なおしゃれレストランの脇を通り、酔っていい気分のおじさんたちをすり抜けて、いつもの通り川沿いを走っていました。桜の時期の熱狂ぶりも落ち着いて、週明け早々の大川は人出も少なく…と思ったら、川の縁で抱き合う熱烈カップル発見。だいたい人前で熱烈な人たちにおしゃれな奴はおらん、と目を向けたところ、ぴったり抱き合った二人の身長が同じくらいで、妙に体格がよく、髪もどちらも短くて…。うーん? なんか、男同士のような。部活帰りのような大きなバッグが無造作に足元に置いてあって、なんだかそれも男っぽい。暗かったし自転車で通りすぎたので確証はないのですが、ただよう必死な感じ(できたてカップルから漂うタイプのやつ)も妙なリアリティ。実はベリーショートの女子と坊主の男性(どちらも柔道部かレスリング部に属している)かもしれないし、殴りあった後の男の友情かもしれません。でもまあ、いいじゃないの。男だろうが女だろうが。ハグする姿勢にてらいがなく、互いに夢中!て感じがすがすがしい。浮かれた桜の散ったあと、葉桜の時期というのも絶妙で、ぴったりくっついたシルエットを思い出しながら、彼ら?の来し方行く末に想像を膨らませてしまいました。

おかげで、「33」の眼が元の「00」にリセットされましたとさ。目薬よりも目に青葉。

三十路ギャグにて、失礼つかまつります。