やさしい遊星ブンボーグ

※ネタバレあり

 
土曜の昼の回で、ヨーロッパ企画の「遊星ブンボーグの接近」を見てきました。
年甲斐もなく前夜に半徹夜カラオケをしてしまい、昼食抜きでなんとか開演に間に合う有り様。
既に空腹で限界ですが、面白くて我を忘れるようなら乗り越えられる、と勝手にハードルを上げて見ることにしました。
忘れるのだ、空腹は。。!
 
私が思う演劇の面白みは、限られた3次元の舞台上に複数の空間が共存するところです。
存在しないものを存在しているかのように、ないものをあるかのように見せかける方法がアナログで、脳みそというより身体に訴えてくる感じ。
芝居が始まる直前、音楽がボリュームアップして暗転していくところもワクワクしますが、それも劇場の空間が舞台と客席という別次元に区切られていくための演出であり、だから結局私は共存する異次元(厳密には次元じゃなくて、シーンだったりするのだけど)が好きなんだなぁと、あらためて思った次第です。
 
中身は、小人の宇宙人が地球旅行にやってきて、パソコンの裏に置かれた(相対的に)巨大な文房具を使ってあれやらこれやらする、というお話です。
これ絶対舞台装置転換するよね?しないと成立しないよね?と思ってたら転換しませんでした。なんというか、ちょっと意地を感じました。
その代わり全部「以下略、それから」的な切り替えになっていて、つまり章ごとに暗転と音楽で切り替えます。文房具コメディですから、それぞれカッターの章、セロハンテープの章、みたいな感じです。
 
気づいたら秋、と書いてありましたが、さぞかし考えたんでしょうね文房具について!
文房具についてボケまくり、突っ込みまくってます。しかしボケはいいとして、突っ込みって内容もそうだけどテンポとか突っ込む人間の個性だったりしますね。中盤の永野さん(だっけかな)の突っ込みが面白すぎて泣けました。ここで最も空腹を忘れました。
あとは、設定のシュールさを冒頭の映像で処理してほぼ語らないのと、中盤から混ざってくる人間の視点の手法がとても面白かったです。スクリーン使いの妙ですな。
 
前回見た「月とスイートスポット」と比べると、次元を超える(物理的に。この破綻も芝居らしくて好き)スペクタクル感にはちょっと欠けるし、起承転結も少なめ。ストーリーというより、設定を楽しむ感じです。
しかし、絶妙な値段設定でコストパフォーマンスはすごくいいと思う。劇場もこぢんまりしてるし。
住所変更の登録もして、次の公演案内が楽しみな劇団です。