おひとりさまのための、東京の右側の歩き方:谷根千散策編

昨日の続きです。
 
  • お腹が満たされたら、谷根千散策
基本的にはぶらぶらするのが楽しい街ですが、有名どころの谷中銀座や根津神社以外で私が激賞するコンテンツは「朝倉彫塑館で猫を愛でる」「往来堂でうっかり本とパンを買う」「松野屋でざるとか買っちゃう」「いせ辰で千代紙を大人買いする」です。
 
①朝倉彫塑館で猫を愛でる
人の家がね、好きなんです。豪華な邸宅もいいですが、住んでた感じがする家を訪ねるのがとても好き。神社仏閣とは違う、生活の目線が入り込みます。朝倉彫塑館は名前の通り、朝倉さんと言う彫刻家の方がアトリエ兼家にしていたところです。入ってすぐの天井の高いホールと、落ち着いた和風建築の組み合わせがとても贅沢。贅沢と言っても豪華という訳ではなく(客間なんかは広くて立派ですけどね)、洋間も欲しい、和室も欲しい、サンルームも作っちゃえ、みたいな欲しいものを詰め込んだ感じが羨ましいんです。灯りの形や柱の節など細かいところにもこだわりが見えて、時間をかけて作り上げるオーダーメイドの優雅さがあります。
そんなお家のお薦めは3階の蘭の間。元々蘭を育てる温室部屋だったのだと思いますが、今は猫の彫像がずらり。なんでも、朝倉さん谷中在住の人らしく猫がとても好きで、たくさん飼ってたんだそうです。思い思いのポーズを取る猫たちが、陽の当たる温かい部屋に並んでいて…うーんここなら居心地いいわねぇと、猫に代わって満足してしまいます。 朝倉さんちの猫たち、ぜひ愛でてあげてください。
 
~DATA~

朝倉彫塑館

開館時間 9:30-16:30(月・木定休日)

入館料  一般500円

アクセス 日暮里駅西口を出てまっすぐ、左手にある石材店の手前の角を曲がってしばらくいったところ

 

往来堂でうっかり本とパンを買う

アイラブ往来堂。街の本屋万歳。BRUTUSなんかにも紹介されて有名になってしまいましたが、往来堂書店は谷根千エリアで一番「ちょうどいい」本屋です。店は小さいのですが小さすぎず、ラインナップの密度は濃ゆいのですが排他的ではなく、必要なものが手に入る一方で知らなかった本にも出会える。下町にふさわしい、主張があってフレンドリーな本屋です。分野ごとの本棚が小さいからなのか、ただ本が並んでいるんじゃなくてテーマに沿って編集されて各々がつながっている…ように感じて、妙に本が面白そうに思えるんです。だからと言って個人の好みに偏っているわけではなくて、流行りの新書やいつもの雑誌も見つかるので、その頃合いが私にとってはジャストフィット。たくさんの本の中から必要なものを自力でスクリーニングしたい場合はお勧めしませんが、ねぇねぇ何か読むものないかなぁ、というテンションの時にはとてもお勧めです。でですね、ここのレジ脇には「檸檬の実」のパンが売っていて、立ち読みでうっかり遅くなった私のお腹を刺激するわけです。食事パンも、おやつパンもあって、ネーミングが面白い。文字で刺激された私の頭(と胃袋)に訴えるストーリーのあるパン。本もパンも、どちらもふわふわとした形而上的な何か。その相性の良さに財布の紐が緩むばかりです。散歩の合間に、おやつまでの時間つぶしに、本屋はいかが。
 
~DATA~
営業時間 月~土 10:00~23:00 / 日・祝 11:00~21:00
アクセス 不忍通り沿いを千駄木から根津神社方面に行くと、みずほ銀行の向かいにあります
 
松野屋でざるとか買っちゃう
3つめは下町っぽいお買い物。谷中松野屋、荒物のお店です。馬喰町に本店があってこちらは支店、と思ってたら一般向けのお店は日暮里だけなんですね。夕焼けだんだんを日暮里方面に上ったところにあるので、日暮里駅に向かう途中に用事もないのについつい寄ってしまいます。焼き物などの、暮らしにおける主役というか表向きというか、そういう華やかな持ち場のあるものもいいんですが、箒やごみ箱やザルなんかが持つ実用一点張りのいたいけな美しさに、ぐっと来てしまいます。そう、いつだって私は日陰者の味方(なぜ)。ここで前から欲しいなぁ、欲しいなぁと思っているのが日本酒用の「飲み屋の厚口グラス」。すいません、カタログ貼り付けちゃう。真ん中あたり、分かりますか。熱燗にちょうどよさげな、質実剛健なグラスです。うおーかっこいい。でもこれ買って自宅で熱燗を飲む私…確かにかっこいいけど、ちょっと仕上がりすぎてて一歩踏み出せぬ。それで正しい気もするが。
 
別におやじ臭いものばかりあるわけではなく、海外のものも扱っていて、ちょっとツウな感じを楽しめます。その他にも、籠バックが充実。なかなかお高いですけど眼福です。着物にもぴったり合いそうで、いつか欲しいなぁ(これはお金が許せば買ってもいい気がする)。
 
いせ辰で千代紙を大人買いする
最後のコンテンツは、江戸情緒あふれる谷根千の鉄板です。三崎坂沿いに2店舗ありますが、私は手前の千駄木店の方が機能的で選びやすいと思います。さて、ここでは江戸のリリシズムに酔うことなく、その道の卸のような目線で大量の千代紙を取捨選択する力が求められます。もーとにかくいっぱいあるんです。柄もカラバリも。ぽち袋やノートなどの文房具類もたくさんありますが、テキスタイル狂を自認するそこの貴方(っていうか私だ)、さあ、手ごろな300円~400円の千代紙を心行くまで漁りましょう!引き出しは和のテキスタイルの宝庫です。ただし、自宅に飾って楽しむなら和風ど真ん中よりちょっと“ずらし”て選ぶことをお勧めします。例えば夢二デザインの千代紙は大正ロマン風の柄がモダンで洋風の部屋にもなじみやすいと思いますし、伝統的な菊や桜の柄は赤や青より淡い色味を選んだ方が印象が軽やかで、ものによっては北欧風にも使えます。とか言って私のコレクションの一部を自慢。ちょっとモダンでかわいいでしょ。なんとなーく季節に応じるように柄を選んで、壁に飾って楽しんでいます。この手の店は好みによりますので、おひとり様にはおススメですね。というか、好きな人同士で行かないと確実にお連れ様が時間を持て余すでしょう。

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以上、谷根千散歩編でした。なんと、まだ続く…!いくら紹介したいからって頑張りすぎだろう私。