道成寺とセットでどうぞ。御坊・川常の香ばしいうな重

暑くなると、鰻が食べたくなりますねぇ。ブログで鰻を扱うのは2回目ですが、そもそも私年に1回くらいしか鰻を食べない人間です。だって高いのだもの。この頃は特に。蓬莱軒のひつまぶしなんて、さっき調べたらなんと今3600円に値上げされてるんですってね、奥さん…!私の最後の記憶は2000円台だったと記憶してるんだけどなぁ…

さて、どちらかと言えば珍しさゆえに記録しておきたくなる鰻ですが、今回は地元で有名な鰻屋「川常」に行ってきたので名所と共に紹介します。

道成寺に行く前に・行った後に、鰻でランチ

和歌山県御坊市には能や歌舞伎の演目で有名な道成寺があります。和歌山県はまぁ全般的にアクセスの悪い県ではありますが、万が一出張や観光に来た際にはぜひ一度お立ち寄りください。

で、たぶんこういった場所なのでランチに困るであろうということも兼ねて、近くの鰻屋さんを紹介する次第です。近くと言っても車で10分くらい(たぶん)でしょうか。電車の場合は、道成寺ー御坊間をJRで1駅、御坊駅から徒歩か紀州鉄道という超ローカル1両列車(これはさすがに超地元民じゃないから乗ったことない)の「学門駅」というのが最寄りだそうです。たぶん電車はとても面倒だと思うので、車でなければタクシーをお勧めしたいです。

なかなかの人気店で、休日のランチはほぼ待ちます。行列を作るのではなく、名前と電話番号を店の人に伝え、空いたら電話をくれるというシステムです。店の脇の駐車場で時間を潰すもよし、海辺をぐるっとドライブするもよしです。我々は祝日に訪問したからか、12時過ぎについて、席に座ったのが12時半過ぎ、注文したものが出てきたのは1時過ぎでした。

 メニューはこんな感じです。両親と私の3人で訪問し、私と父はうな重を、母はお昼定食を注文。2860円って、ほぼ私の1週間の昼食代やで…

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お得なお昼定食はこんな感じ。鰻はこぢんまりですが、うざくもついてて母は満足そうでした。
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そして来ました、うな重。さすがにみっちり詰まっています。特重だとこれ以上何がどうなってるんでしょうか。
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私は名古屋のひつまぶしをきっかけに鰻を好きになったので、炭火で炙られた表面がカリッと香ばしい焼き方が好みです。備長炭が名物の土地柄ですから、香ばしさはとてもよかったです。脂は結構しっかり乗っており、食べ終わったら超・満腹になりました。加えて昼間から調子にのってビールも飲んだせいか(ビールはヱビス)、この日はこれで食事終了。夜ご飯はお腹が空かずに食べられませんでした。ううむ、年のせいか食べれなくなっておる…。
テイクアウトもあるので、地元民としてはちょっとした手土産にも重宝するお店です。注文してから出てくるまでに少々時間がかかりましたが、繁盛店らしく店員さんの対応もきびきびしており、気持ちいいです。わざわざ来る人がいるというのも納得。
 

道成寺は、本当は良縁のお寺のはずなんだけど…

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鰻を食べたついでに、道成寺にも寄ってきました。名所旧跡は近いと却って行かないものですよね。和歌山県最古のこのお寺は創建が701年。えーっと、確か大宝律令の年だったか…?なんせ古いです。「安珍清姫」で一躍有名になってしまい、私もそのイメージしかなかったんですが、元々は宮子姫という文武天皇の后にまで出世した女の人が建立した、女性が良縁を得て出世したことに因むめでたいお寺です。良縁を得たい女性、出世したい女性にはご利益があるそうな。
境内はすっきりとまとまっていて落ち着いた雰囲気なんですが、歴史のありがたみを感じたければぜひ宝仏殿へ。私も初訪問でしたが、とても立派な仏像がずらりと並んでいて壮観でした。本尊は千手観音、その両脇を固める日光・月光(どうでもいいですがこのにっこう・がっこうっていう響きが好き。ヤ〇坊〇ー坊的なリズム感)と共に国宝らしいです。1本の木から彫り出してる(一木造りというらしい)のがかっこいいですよね。その他、大きなお釈迦さまや干支にちなんだ仏像が20体以上まつられているので、密集感がすごい。空気が濃ゆいというか、文字通り一堂に会しております。
また、宝仏殿では数十分おきにお坊さんが解説をしてくれるので、道成寺の縁起から仏像の意味、安珍清姫の絵解き物語まで30分から40分くらいあればまとめて知ることができます。ハイライトはやはり絵解き説法。宝仏殿内の説法部屋的なところ(安珍清姫にまつわる絵画や歌舞伎役者の写真がずらっと並んでてこちらもこってり)に移動し、巻物を紐解きながら、関西らしくちょいちょい笑いを取りつつ話してくれます。笑いを取りに来るのは、真面目に話すと結構ドロドロしているので話をライトにする心配りかもしれません。先ほど言った通り本来は女性が良縁を得られるありがたい寺なのに、男を追っかけて身を滅ぼした女の人のせいで、平安時代以来、ただただ男女のスキャンダルを語ることに終始してしまっているという、皮肉な巡り合わせのお寺なんですね。まぁ、そのおかげで有名なんですけども。
説法は、最終的に仏教のありがたい教えに結び付ける必要があります。ストーカー話を終えたところで道成寺が出した結論は「西方極楽」(西の方に極楽があるという意味)ではなく「妻方極楽」、つまり奥さんを大事にしたら家庭は平穏、女の人を怒らせたら怖いですよ、とのことでした。うーん、だいぶ中間取ったというか、丸めてきましたね。
ちなみに、説話に則るように鐘はありません。大昔、大晦日に訪問したら除夜の鐘どころか鐘自体がなくて、ああそうか、安珍が鐘の中で焼かれたんだっけかと妙にリアルに感じたものでした。再建したものもまた持ってかれたとかで、今は京都にあるそうな。このへん中々因縁めいてますね。
 
という訳で、なかなか見ごたえのある道成寺と、食べごたえ十分の鰻のセットでございました。こってりしてますけど、食い合わせは悪くないと思いますよ。