お客様の中に○○はいらっしゃいませんでしょうか

今日で仕事納めの方、お疲れ様です。

私も仕事を終え、というかタイムオーバーで終業し、その足で帰省しました。
 
実家方面の特急列車は思ったより混雑していて、通路に立っている人が増え始めた頃。
私の席のすぐそばにいた女性が急に倒れてしまいました。すぐに起き上がったのですが明らかに顔色が悪い。介抱したり車掌を呼んだりとちょっとした騒ぎになりました。
真っ先に女性を介抱したのがすぐ前に座っていた男性。落ち着いた様子で声をかけ、女性を座らせるなど、手慣れた様子。病院関係者か?とちらっと思ったら、「○○病院に勤める医師なのですが、少し伺ってもいいですか?」との台詞。
おお、これが噂に聞く「誰かこの中にお医者様はいらっしゃいませんか?」的シチュエーション!
女性にとっては不幸中の幸いです。
倒れたときの気分は?これまでに同様の経験はあるか?家族に病気持ちはいるか?脈をとってもよいか?など、プチ問診を開始。
 
間近に座ってあわあわするだけだった私などは、漏れ聞こえる医師と患者の会話を聞きつつ、やっぱこういうシーンで一番かっこいいのは医者だなぁと感じ入ったのでした。まさに、緊急性と専門性がぴたりと一致する瞬間。見てる方もそうですが本人だってオレかっこよくね?くらい思ってるはずです。
 
翻って我が身を思うと、専門性の低さに涙が出ます。これと同様のシチュエーションは、ちょっと難しいよなぁ。
 
 
うーん、うーん、と唸る声。
乗客A「だ、誰か、この中に企業の宣伝担当の方はいらっしゃいませんか?」
私「どうされましたか?」
A「案1か案2か決定を迷ってるんです。品川に着くまでに結論を出さなければ予算承認が間に合わない…!」(企画書を差し出す)
私「ふむ…(資料を読み込んでいる)」
B「先輩、人に頼るのはよしましょう、こうなったらせーので決めるしか、、!」
私「お待ち下さい。すみませんが、クリエイティブブリーフを見せていただくことはできるでしょうか?」
A「あ、はい…こちらになります」(書類を差し出す)
私「なるほど…差し支えなければ、過去に同様の商品コミュニケーションを行ったことがあるか、教えて頂けますか?」
B「今回が初めてです。今までにない新しい商品なんです」
私「了解しました。今の情報だけではなんとも言えないのですが、ブリーフに対してこの企画提案だと仮定すると、解釈が違っている可能性か、もしくは営業とスタッフのミスコミュニケーションが想定されます。」
A「そんな!でもどうすれば」
私「まずは予算確保が先でしょう。1と2どちらに転んでもよいように、高額な方の予算に合わせて申請を行いましょう。細かい企画内容までの記載は不要です」
A、B必死にメモを取る
私「その後はかかりつけの担当代理店に相談してみてはいかがでしょう。もちろん、ブリーフの解釈が違うのは向こうの責任ですから、確保した予算内で制作をするよう握らせるんです」
A「なるほど、分かりました。わざわざ親切にありがとうございます」
私「どういたしまして。では、私はこちらで降りますのでお大事になさってください」
 
ブリーフも企画書も、そんな見せちゃいかんだろー。
 
閑 話 休 題。